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トランプ、Trump、Tramp [ジャズ日記]

2017年1月7日(土)

トランプ, Trump, Tramp 

謹賀新年。

1月4日の日経平均はいきなり高値で明けたけれども、どうだろうか。

たしかに昨日の米雇用統計(非農業部門の雇用者数、前月比15.6万人増)はまあまあだったし、賃金の伸びは0.4%上昇でアメリカ景気は拡大中で、昨日は夜安心したけれども、どうだろうか。

なにしろ相手が気まぐれなトランプではないか。トヨタに対してお門違いな「NO WAY!」とツイートする次期大統領が今まで存在しただろうか。日本の自動車産業が、アメリカ国内でどれくらい雇用を生み出し、社会にどれくらい貢献しているか、それすら調べずに「ありえない」はあり得ない。

シナトラなら「All The Way」だが、トランプにはいつまでもというわけには行かない。とりあえずシナトラの「The Lady is Tramp」を聴いて気分転換しよう。

https://www.youtube.com/watch?v=_VJY97l0jVA

トランプ政権は、一か八かの大胆な景気浮揚策を期待されていて、株価の上昇を招いている。「make America great again」は多くの有権者の心に響いた。しかし問題は、この理論を実行に移すとき、「America」の定義をしなければならないということだ。

トランプの叫んだ「America」に投票した人々は、みんな「それは自分のこと」だと認識した。白人も黒人もヒスパニックもアジア系も、男性も女性も、保守派の高給エリートも、そして初めて民主党以外に投票した大衆ブルーカラー層も、みんな「America=me」という認識で、投票したはずだ。

実際にはそんなわけがないことは、トランプの新政権の人材が証明しつつある。ウォールストリートとメインストリートの深い亀裂、1対99の分断を埋めることは、新政権チームの顔ぶれからは想像しにくい。

タイム誌はトランプをカバーにした号でこう表紙に書いている。「TIME: Person of the Year. Donald Trump, President of the Divided States of America」(December 19, 2016) .(ただし太字は引用者による)その通りではないか。

僕が危惧するのは、トランプによる分断がアメリカ国内だけでなく、米国対メキシコ(例の壁問題)、米国対中国(貿易赤字問題、為替、台湾、南シナ海)、米国対??とツイートによって一瞬でグローバルに拡大することだ。

世界の平和こそ経済の基本。とくにリスクに敏感な投資マネーは政治の安定と平和を条件とする。

マネーにとって、今年はトランプの年になりそうだ。


東芝ショックとトラスト・コスト [経営学〔組織と戦略〕]

2016年12月29日

東芝ショックとトラスト・コスト

「トランプラリー」の興奮のあと、「東芝ショック」 が日本マーケットを襲った。Financial Timesなど海外にもトップ記事に並ぶ扱いでニュースが伝わっている。この会社が、このタイミングでマーケットに与えたダメージは予想外に大きく、長引くとみている。キーワードは信頼コスト(trust cost)だ。

James Montierが行動ファイナンスの本に書いていたが、投資家は情報の非対称性に直面して、しばしば極端な行動をする。その一つが「確証バイアス」confirmation biasと呼ばれるものだ。今回、東芝は投資家に不信の確証バイアスの根拠を与えた。

エージェンシー・コスト論から言えば、投資家は経営者ではないから、会社の本当の財務事情を知り得ない立場にある。株主は組織外部者であり、情報の非対称性リスクにさらされている。

歴代の経営者によるまちがった事業戦略、失敗を隠すための強引な数字作り、虚偽会計報告は、そのリスクを現実のものにしてしまった。2015年、それが明らかになった時点で、投資マネーは東芝からともかく去った。

投資家がどうリアクションしたかは、
2015年3月27日高値535.0円→2016年2月12日安値155.0円
の急落だ。FTではこういうときは"plunge"という単語が使われる。まさに海に飛びこむような落下ではないか。

この1年弱の間、経営陣は訴えられ、社員は生まれ変わろうと懸命に努力した(と投資家は考えていた)。そして東芝の株価はゆっくりと持ち直していった。それは半導体と原子力への「選択と集中」、不採算部門からの撤退と思い切ったリストラによって、業績予想も上方修正したからだ。

その結果、投資家の行動は、
2016年2月12日安値155.0円→12月15日高値475.2円
までリアクションした。

しかしこの反発の間、投資家の内心はどうだったのか。彼らは東芝を買い増ししながらも、心のどこかで疑心暗鬼は持っていたと思う。企業がいったん失った信頼を取り戻すことは、それほど難しいのである。情報化時代のトラスト・コストは大きい。

そして12月26日、予定していた社長会見が突然延期される。

何事かと投資家や社会の疑心暗鬼はつのり、翌日12月27日、不透明感満載の米原発事業の減損についてのプレス発表である。

当然のことながら、翌28日はストップ安。それは1日では終わらず、ストップ安はザラバ中に三日間続いていた。29日終値、258.7円まで売り込まれた。

もちろん株価は逆張り好きな日本の個人投資家によって、いったんは買い戻しが入るだろう。しかしダメージは深く、あわてんぼうの個人投資家を裏切る結果になりそうだ。

今回のニュースの出方も不快だった。情報は、例によって「1000億円の特損」から始まって「数千億円」から「金融機関に支援」まで、底なし沼のように次々と悪い材料が出された。これも透明性の観点からみて非常に問題だ。

そして最大の問題は、投資家が、「やっぱり東芝は変わってないじゃないか」という証拠として、今回の減損を理解したことにある。これは投資家にとって絶好の「確証バイアス」となってしまった。信頼は二度目の喪失をした。

行動ファイナンスにおける確証バイアスとは簡単に言えば、「ほらみたことか」という感情である。企業は信頼(トラスト)という絆で社会と結び付いている。そしてその絆は細くてもろい。IRやCSRに熱心な企業は、そのもろさを知っているのである。

新聞各紙を時系列でひろってみると、

  • 「東芝、特損1000億円規模、米原発の資産価値減」(日経新聞デジタル、2016年12月27日午前2時)
  • 「東芝が売り気配、特損1000億円規模、米原発で減損」(日経デジタル、12月27日午前9時)
  • 「東芝、数千億円規模の損失計上か、米原発会社の買収巡り」(朝日新聞デジタル、12月27日午後12時)
  • 「東芝、最大数千億円規模の損失計上、米原発事業で減損」(日経デジタル、12月27日午後4時)
  • 「東芝、止まらぬ損失、WH買収で”10年の重荷”」(日経デジタル、12月27日午後5時)
  • 「東芝常務、資本増強を検討と説明、財務基盤強化へ」(日経デジタル、12月27日午後6時)
  • 「東芝社長、原子力事業の減損リスク”12月中旬に認識”」(日経デジタル、12月27日午後6時半すぎ)
  • 「東芝、最大数千億円を損失計上の可能性、正式に発表」(朝日デジタル、12月27日20時)
  • 「WHまたも巨額損失、東芝、半導体の片翼飛行続く」(日経デジタル、12月27日午後8時)
  • 「海外子会社に死角、WHの買収に統治効かず」(日経デジタル、12月28日午前1時半)
  • 「東芝、原発事業が足かせ、巨額損失、再建に暗雲」(朝日デジタル、12月28日午後5時)
  • 「S&P、東芝を”シングルBマイナス”に1段階引き下げ、格付け方向で見直し」(日経デジタル、12月28日午後6時)
  • 「東芝が売り気配、格付け会社が相次ぎ格下げ」(日経デジタル、12月29日午前9時過ぎ)
  • 「東芝が続落、大引けは258円70銭、売買高6億株超」(日経デジタル、12月29日午後3時半)

こういう投資家のリアクションに批判的な向きもある。伝統的な日本的経営論の方々だ。

たしかに、かつて日本企業が「信頼」ではなく制度によってマーケットと結びついて時代があった。その中核がメインバンク制度であり、会社が企業グループの枠に守られていた、グローバル化する前の閉ざされた時代の話である。当時は、企業の不祥事は「ごめんなさい」と言えば企業グループが許してくれた。今、SNSとグローバル化の時代に、社会は許さない。

日本の会社が安定株主によって保有されていたのはバブル崩壊前である。1980年代後半、安定保有費率は45%前後だった。それが40%を切るのは、1997年である。2002年には30%も切り、27.2%に落ちる。

「もの言わぬ株主」によって保有されている時代は過去のものだ。先の三菱自動車の例でも明らかだろう。今は、外国人投資家や個人投資家が浮動株主として冷めた目で会社をみている。

スタンダードな教科書『企業分析入門』(K. G. パレプ他、東大出版会)が言っているように、財務報告は社会的に重要な役割を果たしている。東芝にまつわる不気味な闇は、財務報告のベースとなる情報に関するものである。それだけにダメージは東芝一社だけにとどまるものではないと懸念される。「やっぱり日本企業は」という以前のイメージに戻ることが懸念されるのであり、外国人投資家に「確証バイアス」を与えてしまうことが心配である。トラスト・コストを過小評価してはならない。


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英国離脱(Brexit)続き [経営学〔組織と戦略〕]

英国離脱(Brexit)続き

2016年6月25日(土)
昨日の欧州連合(EU)からの英国離脱決定は、さっそく日本企業にもその影響を拡大しつつある。今日未明(1:33)の「日経電子版」によると、英国離脱によって戦略見直しが必要な日本企業は、日立製作所(鉄道車両、原発建設)、日産自動車(サンダーランド工場、年間50万台) 、トヨタ自動車(年間19万台)、ホンダ欧州(年間15万台)、キヤノン(地域売上高、年間1兆円)、ソニー(サリー州など6カ所の拠点、全社売上高の1割弱は英国から)、など。

実際、英国離脱の直前までは、主要企業は「1ドル=110円」を想定していたところが52%だった。レンジの幅は、ファナックやトヨタのように105円からNECやウシオ電のように115円までだった。
対ユーロでも125円想定のNEC、ダイキン、川重から115円のファナック、119円のトヨタなど。
昨日からは「1ドル=100円」、「1ユーロ=110円」を見込むトレンドに一瞬で転換した。主要200社の経常利益は3.6%減少してしまうという試算もある。何よりも「想定外」であることが市場にショックを与える。「ブラックスワン理論」である。

Moody'sは英国ソブリン債(国債)の格付けを「stable」から「negative」に引き下げて、今回の国民投票の決定は英国に「a prolonged period of uncertainty」(長きにおよぶ不確実な時代)を予兆させると書いた(24 Jun 2016, Moody's HP; Financial Times)。EUの規則では、この場合、2年間、契約の見直し期間があるが、ムーディーズは「これから数年間」にわたって、英国はEUと貿易関連の契約の再交渉をしなければならないとある。その間、英国経済は非常に不安定で、自信を失って、消費と投資は低下し、成長は弱まるだろうと予測している。

Financial Times電子版は、世界の株式市場は、金曜日、2兆ドル以上の価値を失った、これは2007年以来最大の下げ幅だと報じた(昨日)。これは「knee-jerk move」(反射行動、過剰反応)であり、金融機関が熟慮して株を売ったという時間はなかった、アルゴによる自動反応だとも報じている。それは当然そうだろうと思う。

EU側ではどんな反応だろうか。ドイツの Die Welt(世界)紙は「ブラック・フライデイ」だと表現し、「neue Zukunftsszenarien 新しい将来のシナリオ」はやや陰鬱で、ユーロは危機に面している、と報じた。

ただ問題はもう少し大きい、構造的なものと僕は考えている。 

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英国離脱(Brexit)とグローバル化の終わり [経営学〔組織と戦略〕]

英国離脱(Brexit)とグローバル化の終わり 

2016年6月24日(金曜日)

驚きの大逆転だった。朝方は、やはり離脱はないだろうという想定でマーケットは動いていた。「いくら難民問題があっても、失業率が高くても、いろいろな国でトランプみたいな声が大きくなっていても、最後は英国紳士の理性的な判断が事を収めるだろう」 というのが「想定」だった。

ところがBBCで開票速報が進むと、残留派の本拠地スコットランドでも意外に離脱派が票を伸ばしたり、各地で離脱派の底力がひしひしと伝わってきた。そしてお昼前にBBCが離脱派勝利の速報を出すに至り、「想定外」の虚を突かれたマーケットは大荒れに荒れた。アルゴも起動して荒れた東証では、ついにサーキットブレーカーが取引をいったん止めた。「リーマンショック以来の世界経済危機」という文字が頭をよぎった瞬間だった。 

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旅行バッグのビジネス(サムソナイトがTUMIを買収) [経営学〔組織と戦略〕]

2016年3月4日(金)
日差しが暖かくなってきた。今年は夏休みの旅行をまだ予約していないので、そろそろ焦りはじめた。それにしても、飛行機の席はなぜあんなに早く埋まってしまうのだろう。もちろん供給と需要のバランスに問題があるからだ。それなら供給を増やせばいいのだが、規制産業には市場メカニズムは機能しない。岩盤規制が成長戦略を押しつぶす構図。ともあれ、ヨーロッパの美しい晩夏の旅行が唯一の楽しみ、という人は僕の他にもたくさんいるはずだ。

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日本企業の戦略的無方向感:シャープを考える [経営学〔組織と戦略〕]

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(写真)スイス,チューリッヒ,2015年晩夏

2016年1月5日(火曜日)

謹賀新年。
昨年はあるテーマに専念して勉強した。去年の正月よりも「進歩」した実感がある。たいした進歩でもないだろうが,昨年まで意味がわからなかった情報がわかるようになったのは嬉しいし,そもそも以前ならその情報には気がつきもしなかったはずだ。今は,その出来事や数字がおもしろくてしかたがない。人生,得した気分である。

 

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スイス旅行、投資、企業、ケインズ [ジャズ日記]

2015年10月11日
夏、チューリッヒで。旅行に重い荷物は最悪だ。かといって、12時間半の機内は確実に退屈する。この「スーツケースのジレンマ」を解決してくれたのが、iPad とキンドル。今度こそはこれだけ持っていこうと、毎回、軽装パッキングを試みる。

しかし、「まてよ」という思いが脳裏をかすめる。あの仕事を機内で片付けようか、いや滞在先のホテルで書けるのではないか、などという誘惑である。この「誘われてフラメンコ」に乗る私は、スーツケースよりもはるかに軽い。                                                                                

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中国株式市場のブラックマンデー [マネー]

中国株式市場のブラックマンデー

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The Carpenters. 1973. Johnny Angel.

2015年8月30日(日)
最悪の夏休みと言うべきか。皆さんも眠れない日々を過ごしていたのではないだろうか。8月24日(月)、マーケット・クラッシュの震源地、中国の新聞新華社は「黒色星期一」(ブラックマンデー)と書いた。当日、上海総合指数は8年ぶりの下落率だった。

 

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サウンド・オブ・サイレンス(映画 卒業) [ジャズ日記]

 

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1966年発表されたサイモントガーファンクルのセカンドアルバム。映画「卒業」が翌年にヒット。この曲からダスティン・ホフマン主演の名画を思い出す人は多いだろう。

 the_graduate.jpg

青葉茂れるという言葉があるが、この映画ほど瑞々しい若さを描ききった作品はない。主演のダスティン・ホフマンがすごい。彼が演じたベンジャミンは、最初は目的を失って実家でゴロゴロしている優等生、そのベンがエレーンと出会い、恋に落ちて生命力がフル回転してくる若者に変貌する。ダスティン・ホフマンがスクリーンの中でまるで別人のようになる。

登場人物はすべてキャラが立っている。ベンジャミン、エレーン、そしてこの映画のキモとなる孤独な魔女ミセス・ロビンソン。

 

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上海株式市場からの教訓 (Simon and Garfunkel) [マネー]

上海株式市場からの教訓

上海総合指数201507.gif

7月28日(火)
上海が、27日ふたたび8.5%の暴落。英「Finanncial Times.com」アジア版をはじめ、世界のトップ記事を飾った。不安が的中してしまった格好だ。

上のチャート(週足、6ヵ月間。移動平均線:13, 26)から、6月12日の最高値(5,178ポイント)から7月9日の最安値(3,373)までの暴落が見える。その後、7月24日(4,184ポイント)まで指数を押し戻したものの、26週移動平均線に頭を押さえられて、昨日、今年二番目の急落がやってきた。まさに国家と市場の死闘である。

ここには載せないが日足チャートで見ると面白いことが分かる。前回の下げも昨日の下げも、ピタリと200日移動平均線でサポートされているのだ。200日線の重要さは、こういうパニック時に実感させられることが多い。

これからの考え方は、下方については200日線で下げ止まるのかどうか、反発については26週移動平均線をブレークできるかかどうか、がポイントだ。中国では大学生がこの相場に苦戦していると聞く。学生を応援する立場としては、なんとか耐え抜いてほしいと願わずにはいられない。

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