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知識のイノベーション(個人用) [経営学〔組織と戦略〕]

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2010年8月20日(土)

上の写真は、今月初め、4つの大学のゼミが集まって研究発表をする恒例のインターゼミ。
それぞれの大学からゼミの卒業生もコメンテーターとして参加、後輩の指導のために厳しくも愛情にあふれたコメントをしてくれる。

現役の学生にとっては、3つのメリットがある。

  • 他大学の学生(ヨコの人間関係)がどういう研究を、どのくらいのレベルで行っているか、質問力や解答力はどれくらいあるかを直接知ることができる
  • 自分のゼミの先輩や社会人の先輩たち(タテの関係)から、自分の能力を評価してもらえる
  • 他大学のゼミの学生や社会人の先輩や先生方(ナナメの関係)から、評価してもらえる

 

 

知識をイノベーションすることは、たとえば、受験用に英単語や数学の公式をコツコツ暗記することだろうか?
もしそれだけのことならば、企業としては、受験偏差値にしたがって人材を採用すればよい。

しかし実際にはそうじゃない。イノベーションが死活問題となっている最近の企業は、採用に膨大なコストと時間をかけて、さまざまな角度からイノベーティブな人材を探し出すのに必死だ。知識をイノベーションすることは、受験能力とはちがう面がある。

  • 受験は科目が決まっている。出題範囲と解答パターンも決まっている。 
  • 市場競争は(受験にたとえれば)、出題科目、範囲が決まっていない。解答パターンもない。
  • 受験は自分の競争位置(偏差値)がだいたいわかる。3ヶ月間でその位置が大きく変動することはほとんどない。
  • 市場競争は、世界一の偏差値をもっていたゼネラルモーターズ(GM)もあっという間に競争圏の外に消える。音楽業界とは無関係のパソコン企業が、気がつけばiPod、iPhoneで世界を制している。Walkmanは昔話となり、ソニーは薄型テレビを1台つくるたびに数千円(推定)の赤字を出し続けている。

今や組織(企業)は、激変する技術&マーケティング環境に対応するために、破壊的イノベーションを制しなければならなくなった。日々のイノベーション、知識の組織内流通と創造が生命線となった。

ここまでは周知のことだろう。問題は、どうやって? ということだ。

 

では個人は、どうやって知識のイノベーションを行えばいいだろうか。

  • ケース1) 急に新しい職務に配属されたが、周囲の会話が理解できない。今までの仕事環境とはちがう「常識」が必要だが、どうやれば効率的に学べるか分からない
  • ケース2) 物理学科卒業だが、戦略部門に配属されて、どうやら期待されているらしい。経営や経済のことを短期間である程度のレベルまで学ぶ必要があるのだが、どこから手をつければいいのか
  • ケース3) ずっと歯科医をしていたが、40代になって実家の不動産管理業を継ぐことになった。宅建をうける必要がある他、経営経済の「常識」をこえたレベルの知識を急いで身につける必要がある

こういうケースは実際に他にもある。知識のイノベーションが、まちがいなく必要なケースだ。
個人的な経験から次のことはアドバイスできる。

A)入門書から始め、入門書にこだわらない
 経営学や経済学にかぎらず、どんな分野でも入門書とくに新書はたくさん出ている。そこから始めるのが効率的だ。新書は、新聞朝刊分の量があるといわれている。1日、カバンの中に入れて持ち歩けば、たいていの新書は読み終える。知りたい分野の入門書を数冊買って、1週間くらいで読んでしまおう。

 「さっぱり分からない。専門用語ばかりで」
という段階から始まるのだが、
 「同じことを角度を変えて説明している」
という半歩進んだ感想になる。そして、
 「あれ、前の著者とちがう意見だな」
というのが分かってくれば、「どうしてちがうのかな」に通じる。
 この段階で次に進もう。
 注意点は、入門書は表面的な説明しか書いていないから、矛盾する説明もあるし、それがすべてではない、きっかけ作りだということを忘れないことだ。読んだら捨ててしまってかまわない本がほとんどだと思う。入門書で知ったつもりにならないこと、入門書は読んだら捨てる、これが重要!

B)教科書
 次の段階は、その分野で定評のある教科書を、しっかり読むことをお薦めする。ホーエルの『初等統計学』のような古典的な教科書は大切だ。専門家はそういう教科書と試験をくり返して学位を獲得している。だからこそ専門家は自信があるのだ。自分の知識は正しいはずだという確信をもつことがどれくらい実務でたいせつか、説得力につながるかは社会人なら覚えがあると思う。
 反対に、素人がいくら学んでみても発言に自信がないのは、定評のある教科書をしっかり身につけていないからだ。ある統計学者が統計ソフト「R」の教科書のなかで書いているが、たいせつなのは統計ソフトがアウトプットした数値を適確に読めるかどうかであって、統計の適応ではない。そういう評価力はよい教科書を読むことによって身につくのだと書いている。これはすべてにあてはまると思った。
 幸いなことに、日本でもよい教科書は多くなったし、英語圏でいえば定番の教科書はたくさんある。そういう努力をしないと自信が身につかないので、注意してほしい。教科書をばかにするな、である。

C)専門書・論文
 鳥瞰図的な知識を身につけるまで、定評ある教科書を逍遙する。1~3年かかって(たいていは自分で自分のレベルが分かると思うから)、次の段階に進むときがきたら、いよいよ専門書・論文にとりくむとよい。
 この段階まできていれば、あなたはその分野の知的楽しみ、知的快楽を知っているはずだ。だからインターネット(グーグルスカラーなどなど)で専門論文を検索して「おっ!」という著者と出会う興奮を知る資格がある。
 専門論文は、なかなか読めない。日本語でも英語(外国語)でも、使っている統計解析が高度だったり、前提としている知識が高度だからだ。そこで専門書を探す。これは、自分がわからない専門分野を穴埋めする作業だ。
 1つづつ穴埋めしていく。最初は「t検定」がわからない、穴埋めする。次に「偏相関」がわからない、専門書で穴埋めする。さらに「確率偏微分」が...穴埋めするたびに、楽しくなっていく。毎日が楽しいはずだ。

 音楽分野に転職したケースなら、新書から専門書まで同じように知識のイノベーションができる。「MP3」から「シェーンベルク」まで、知らなければいけないことは多分たくさんあるが、一定の枠を埋めればコミュニケーションは成立する。

4)雑誌の効用
 最後に、業界や分野の雑誌は目を通したほうがよい。たしかに分野によっては専門雑誌は高価だし、入手しにくいが、コストを払う見返りは後からかならず得られると思ってほしい。コストをかけずにリターンだけを得ることはできないとしたものだ。
 英語学習の雑誌だけでTOEICを900以上にした実例もある。その反面で、1年間留学してきたにもかかわらず成績はあまり伸びなかった人も少なくない。

 要は、ほんとうにその知識が必要なのか、ほんとうに必要とせっぱ詰まって学習しているのかどうかなのだろう。知識はむこうからやってこない、こちらからもらいに行かなければならないのだ。


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